楽曲の歌詞をWEB上に掲載する安全な方法を体験談を交えて解説!
大好きな楽曲をブログやSNSで紹介したいけど、著作権が気になって諦めていませんか。
法律文を読もうとしても難しい言葉だらけですよね。
本記事では、日本音楽著作権協会(JASRAC)の基本ルールをもとに楽曲の歌詞掲載について分かりやすく解説します。
※ 本記事は私の経験・解釈をまとめたものであり、JASRACの見解に基づく情報ではございません
まずは、他人が作った文章などを掲載するために必要な知識『引用』について解説します。
『引用』であれば、JASRACから料金を支払わなくても楽曲の歌詞ブログなどに掲載することができます。
引用の6つの条件
『引用』は、以下の6つの条件を全て満たす必要があります。
1.公表された著作物
これは著作物を作った人がその著作物を公開していることを示しています。本記事の場合、販売中・配信中など不特定多数の人が見られる楽曲の歌詞であればOKと考えられます。
2.明確に区分している
たとえば楽曲の歌詞をブログ記事に掲載する場合、あなたの文章と歌詞の部分を誰が見てもすぐに分かるように区分けしていればOKと考えられます。具体的には、歌詞の部分だけを【隅括弧】で囲むなどの方法があります。
3.出典の明示
著作物の名称や著作者の氏名などを誰が見てもすぐに分かるように掲載していればOKと考えられます。
4.編集しない
本記事の場合、楽曲の歌詞の文言・記号などを変更せずに記載すればOKと考えられます。
5.目的が正当な範囲内である
あなたのブログ記事に掲載する目的が誰かに迷惑を掛けなければOKと考えられます。特に、著作物を作った人や関係者に悪影響が起こる可能性があるときはNGと考えるべきです。後ほど詳しく解説します。
6.主従関係
あなたのブログ記事などの文章が「主要(メイン)」、楽曲の歌詞が「従属(サブ)」であればOKと考えられます。注意点は、何をもって「主要と従属」と考えるかです。この点についても、後ほど詳しく解説します。
私のリアルな体験談
実は、私は先日まで某楽曲の歌詞を掲載していました。
しかし、著作権のことが気になっていたので
対象となるブログ記事のアドレスと共に、事前にJASRACにメールで問い合わせました。
その結果、引用の範囲内であることが認められ、無料で掲載することが可能となりました。
しかし、数ヶ月後に送信防止措置依頼が届いたのです。
その理由は、上記条件の「6.主従関係」が関係していました。
結論からいうと、引用と認められない判断が下されたので、使用料を支払えば掲載し続けることはできました。
料金は、月額150円(非商用の場合)・月額5,000円(商用の場合)です。(2022年9月現在)
※ 詳細は「JASRAC 使用料早見表」で検索
ちなみに、私のホームページ(当サイト)は、一般的な事業活動を行うためのサイトでしたが商用と判断されました。
(「バナー」や「報酬を得るための外部リンク」などは無いという意味)
JASRAC担当者様からの説明は、次の通りでした。
以下に解説する内容は、ご説明頂いた内容はJASRAC担当者のご意見そのものではなく
私が解釈し直して再編集した内容なので参考程度にお読み下さい。
「6.主従関係」について
私が掲載していた楽曲の歌詞の文字数を1とすると、ブログ記事の私の文章の文字数は10くらいでした。
つまり、掲載歌詞の約10倍の文章と共に、歌詞に対する私の考えを述べていたのです。
それでも『引用』と認められませんでした。
私のブログ記事は「5.目的の正当な範囲内である」の条件を満たすことを念頭に執筆しました。
具体的には、私は「ザ・伝えるコツ」というセミナーを企画していたので
そのセミナーのプログラムを充実させるためのコンテンツとしてブログ記事を作成しました。
さらに、当ブログ記事においてセミナーに誘導する文言や内部リンクも、楽曲に対する敬意を込めて一切掲載しませんでした。
加えて歌詞の解説の後には、それまで解説してきた内容のまとめや歌詞には記載がない内容にまで考察は及びました。
記事の冒頭では「調査研究目的」と宣言していました。
それでも引用と認められなかったのです。
では、なぜ、引用ではないと判断されたかというと
結局、歌詞の内容が主要(メイン)になっているとのことでした。
私が掲載していたブログ記事のタイトルは「○○歌詞の解説・考察」でしたので
このように指摘されると、反論の余地はありませんでした。
しかし、ここは本記事の重要なポイントなので詳しく解説すると、
そもそも引用を認めるか否かの話と、記事の掲載などを許可するか否かの話は分けて考えるものです。
ザックリ言ってしまうと、引用の6つの条件を満たさないブログ記事などに対して、
JASRACが使用料を請求する意思を示せば、使用料を請求することができるということです。
噛み砕いて言うと、権利を守ってもらう側(今回であればJASRAC)は
引用を認めないブログ記事などに対して、使用料を請求するルールを設けているわけです。
別の角度から言うとJASRACは、このルールを設けることで明らかな違反者を取り締まることができるわけです。
ちなみに「5.目的の正当な範囲内である」は、過去のいくつかの裁判でも争点になっているので注意が必要です。
これらの経緯があり、当社は法令等遵守を優先してホームページから楽曲歌詞の掲載を中止しました。
法令順守の安全な歌詞の掲載方法
ここまで読み進めると、楽曲の歌詞はブログやSNSなどには掲載できないとお思いかもしれませんが、
実は、簡単な方法でお気に入りの楽曲の歌詞を無料で掲載することができます。
それはJASRACが利用を許諾しているメディアを利用するという方法です。
私の場合は、当社が運営するホームページ上で歌詞を掲載していたため『引用』という形をとっていましたが
JASRACは一部のブログサイトやSNSなどと契約を結んでいて、そのプラットフォーム上であれば
引用の6つの条件などを満たさなくても無料で楽曲の歌詞を掲載してもOKなのです。
しかも、JASRACに連絡して個別に許可を得る必要もありません。
JASRACが契約しているプラットフォーム上なら、音源を投稿してもOKです。
このため自分で演奏した「○○を歌ってみた」などの動画がたくさん投稿されているわけですね♪
とはいえ、著作権以外の法律に違反する場合(公序良俗に反するなど)は処罰の対象になります。
大量に楽曲の歌詞および音源を投稿・広告収入などを得るための投稿などもJASRAC許諾の対象外です。
もちろん、楽曲の元の音源やプロモーション動画そのものをコピーして投稿することも違法です。
詳しくはJASRACのホームページでご確認下さい。
※ 詳細は「JASRAC 利用許諾契約一覧」 and 「JASRAC 動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」で検索
ぜひ、あなたのお気に入りの楽曲を応援するようなブログ記事や動画を投稿してみて下さい。
Twitterは、2022年9月時点で契約を結んでいないので投稿などはできませんが、
(私の理解をもとに考えて、無料で投稿する方法がないという意味)
他の有名どころ(アメブロ、Facebook、YouTubeなど)は、JASRACと契約を結んでいます。
まとめ
結論としては、善意をもとに楽曲の歌詞を解説する記事を書いても
事実上、自分のドメインを取得して開設しているホームページは多くが商用と判断されるため
月額5,000円の使用料を支払う必要があり、楽曲の歌詞を掲載するブログ記事などは断念せざるを得ないということです。
その理由は、楽曲の歌詞を解説するということ自体が「主(メイン)」と判断され、
引用の条件「6.主従関係」を満たすことができないことを本記事で解説してきました。
JASRACも大手ブログ運営会社や広告収入型サイト運営者などと金銭契約を結んでいる以上、
厳しいパトロールもJASRACの仕事の1つであり、個人などの小規模サイトだけを野放しにできないことは仕方がありません。
ちなみに、私が掲載していたブログ記事『矢島美容室「ニホンノミカタ」の歌詞を本気解説!』は、
無料で掲載できるYouTube動画に移行しましたので、ご興味のある方は覗いてみて下さい。