良質な実例に学ぶタイトルの付け方10選! プロの仕事は分析できれば盗めるよ♪
本記事では、藤田紘一郎氏の書籍をもとにタイトルの付け方を解説します。
分析の対象を一人に絞った理由は、
他社と被らないように各出版社がアイデアを厳選し、
プロの編集者が特に力を入れた実例なので、良質なタイトルや流行りのタイトルが集まっているからです。
では、分析をはじめます。
1.ダジャレを使う
2.擬人化する
3.数字をねじ込む
4.特定の年齢層に訴える
5.相手の心に訴える
6.身近なテーマと絡める
7.話題のキーワードを使う
8.売れた書籍をマネる
9.対立軸をつくる
10.常識を非常識に変える
まとめ(注意点など)
1.ダジャレを使う
『絶好腸!!(清流出版)』
ライティング業界では、キャッチコピーなどでも頻繁に使われる鉄板ネタです。ダジャレのポイントは、ウケる・スベるではありません。単に言葉をつないだだけの文章は記憶に残り難くいですが、ダジャレなら記憶に残ります。
記憶に残ったフレーズは、頭の中で復唱されます。このことが本文にも説得力などを高める効果につながるのです。
2.擬人化する
『笑うカイチュウ (講談社) 』
『脳はバカ、腸はかしこい(三笠書房)』
『腸内細菌が家出する日(三五館シンシャ)』
こちらは音楽業界などでも物・時間・概念などを擬人化して使われています。擬人化することで、聞き手の感情に訴えかけている名曲も少なくありません。
擬人化すると、文章に暖かみや柔らかさが出ます。あなたが書いた文章のタイトルも擬人化して、書き直す前のタイトルと見比べてみて下さい。上手く擬人化できると、文章の印象も変わって見えることがあります。
3.数字をねじ込む
『アレルギーの9割は腸で治る! (だいわ文庫) 』
『子どもの幸せは腸が7割 3才までで決まる!(西東社)』
『1000兆匹の腸内細菌を使って10キロ楽にやせる方法(KADOKAWA)』
タイトルに具体的でないと、信頼感が薄れてしまうことがあります。そこでタイトルに数字を入れると、具体性が生まれて文章の信頼感がアップします。
見出しを「ねじ込む」としたのは、これらの数字が科学的に証明された根拠とは限らないからです。たとえば「多く → 9割」といったことです。ただし本文でこのような数字を使うと、クレームが発生する恐れがあるので注意して下さい。
4.特定の年齢層に訴える
『40歳からの「腸内フローラダイエット」新ルール(秀和システム)』
『50歳から若返るための1分間「腸」健康法(ワニブックス)』
『55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由 藤田博士の毛髪蘇生法(青萠堂)』
試しに、これらのタイトルから年齢の部分を取り除いて読み直してみて下さい。特に、違和感はないはずです。そこをあえて「50歳」などのように年齢を絞って「あなたのことですよ♪」と、タイトルを見た人に呼び掛けて「自分ごと」として認識させる狙いがあると考えられます。
出版社はターゲットを絞ることで、特定の年齢層から火がついてヒットさせようと企んでいます。逆から考えると、年齢層を絞らなければ「特定の○○層から火がつく」という可能性が1つ減ることになります。特に現代はSNSが普及しているため「特定の○○層」を1つでも増やすことが重要です。
5.相手の心に訴える
不安
『間違いだらけの腸活の常識(エクスナレッジ)』
『手を洗いすぎてはいけない :超清潔志向が人類を滅ぼす(光文社)』
怠惰
『2週間でおデブ体質からヤセ体質に変わる! (扶桑社)』
『ラクやせ腸活レシピ108 食べてやせる! やせ菌ダイエット (扶桑社)』
良心
『子どもをアレルギーから守る本 (大和書房)』
『親をボケさせないために、今できる方法 (扶桑社)』
願望
『できる男はウンコがデカい』(宝島社)』
『毛細血管は「腸活」で強くなる – アンチエイジングの切り札!(ワニブックス)』
好奇心
『40歳からの「腸内フローラダイエット」新ルール(秀和システム)』
マーケティング(「売れる仕組み作り」という意味)では、ものごとを物理面と機能面から考えることがあります。物理面とは「ドコサヘキサエン酸(DHA)」や「エイコサペンタエン酸(EPA)」などのことで、いかにも難しそうな話しになりそうです。これを見た人は「私には理解できないかも」と思って、中身を読む前に腰が引けてしまうかもしれません。一方で機能面は、実生活に直結する身近な話しとして受け入れやすいので、中身を読むに至るハードルが下がります。
また、最近の宣伝・広告はプロスペクト理論を参考にしているものが多いようです。これはノーベル経済学賞を受賞したD.カーネマン氏によるもので、人はポジティブ感情よりもネガティブ感情のほうが刺激されやすいそうです。つまり、願望を刺激するよりも不安を煽るタイトルのほうが相手の心に影響を与えやすいということです。しかし、使い所を誤ると炎上の恐れがあるので注意して下さい。
6.身近なテーマと絡める
『血液型と免疫力 (宝島社)』
『感染症と免疫力 – 腸内細菌博士が教える新型コロナ予防法 – (ワニブックス)』
『病気にならない、太らない、若返る 「腸」が喜ぶお酒の飲み方(日本実業出版社)』
あなたが本当に大切な事を伝えようとしても、相手が興味を持たなければ話しになりません。そこで読み手・聞き手にとって身近なテーマと伝えたい事を絡めれば、相手は耳を傾けてくれるかもしれません。
また「血液型」については、誰が読んでも自分に当てはまると感じてしまう記述手法(バーナム効果)が使われている事例が少なくありません。
7.話題のキーワードを使う
『人生100年時代の老いない食事(フォレスト出版)』
『認知症は脳より賢い腸を鍛えてくいとめる!(PHP研究所)』
『自力で糖尿病&高血圧を撃退!やせる無限キャベツ健康レシピ(宝島社)』
こちらもマーケティング(「売れる仕組み作り」という意味)では、よく使われる手法です。ヒトは、よく目にする言葉に注目しがちなのでタイトルにも話題のキーワードを絡めます。
たとえば、私が「バイオレメディエーションについて説明します」と話し始めると、多くの人は見向きもしません。一方で話題のSDGs(エスディージーズ)と絡めて「海をキレイにする微生物の話しがあります」と話したほうが相手の関心を引くことができます。
8.売れた書籍をマネる
『新装版 腸内革命(海竜社)』
『残念な「オス」という生き物 (フォレスト出版)』
失敗は、小さな失敗でも記憶に残ります。一方で、小さな成功は特に記憶に残りにくいようです。このため過去の小さな成功を使う手法は、見落とされがちです。失敗の分析ばかりして成功の分析が疎かになっていることも多いのではないでしょうか。
自慢話としての成功はあまり聞きたくありませんが、耳障りにならない程度なら使ってみる価値はあります。あなたにも過去の成功例があるはずです。それを試しに使ってみてはいかがでしょうか。
9.対立軸をつくる
『腸で寿命を延ばす人、縮める人(ワニブックス)』
『腸をダメにする習慣、鍛える習慣(ワニブックス)』
『ボケる、ボケないは「腸」と「水」で決まる (朝日新書)』
アメリカの広告・宣伝では、自分たちの商品の良さをアピールするために対立軸を作ることがあります。日本では好まれる手法ではありませんが、相手を傷つけないように配慮すれば受け入れられることがあります。
対立軸は本文でもよく使われています。主人公や主テーマを淡々と語るより、対立軸を作って分かりやすいストーリーの流れの中で主人公や主テーマを引き立てるほうが読みやすいからです。
10.常識を非常識に変える
『清潔はビョーキだ(朝日新聞社)』
『脳はバカ、腸はかしこい: 腸を鍛えたら、脳がよくなった(三笠書房)』
私はテレビっ子なので、本を読むことは好きではありません。それでも自分の興味があることなら頑張って読みます。そのキッカケの1つが新事実です。
これも「6.身近なテーマと絡める」に似た手法ですが、あなたにとって今まで常識だったことが非常識になる新事実が見つかったと聞いたら、知りたくなるはずです。
まとめ
いかがでしたか。
あなたが考えたタイトルにも少し工夫を加えるだけで
しっかりと中身の文章を読んでくれるようになったり
本文の説得力が高まったりするかもしれません。
また、これらの10項目はネタ作りの企画に応用できるものも少なくありません。
ぜひ、これらの良質なタイトルの実例から使えそうなものを利用してみて下さい。
最後に、注意点を3つ上げておきます。
注意点①
読み手・聞き手の興味を引くことができるアイデアが思い浮かんでも
タイトルと本文が一致していないと、クレームが発生する恐れがあります。
某ネット・メディアのように、すでに高い知名度があれば話しは別です。
これを素人がマネると
総スカンを食らって、あなたの信用はガタ落ちするかもしれません。
注意点②
タイトルは、後で確定することが一般的です。
先にタイトルを確定すると、
その内容に引っ張られて本文が書けなくなることがあります。
ですので、はじめに付けるタイトルは仮決めくらいにして
後で調整・肉付けするという手順で工夫します。
注意点③
全てを書き終えたら、タイトルと本文の整合性を確認しましょう。
夢中になって、タイトル・本文を考えている内に
両者が結び付いていないものになることは少なくありません。
本当に読み手・聞き手に寄り添った文章を書きたいなら、
この点は怠らないように心掛けましょう。
藤田紘一郎氏について
同氏は医学博士・大学教授などの経歴をお持ちの方です。
2021年5月に永眠されました。
私が初めて藤田博士の著書を手に取ったのは、高校生の頃。
これをキッカケに読書の習慣が身に付きはじめて
大学の進路にも影響したといっても過言ではありません。
あれから20年以上が経過し、
新たな研究分野となった書籍も私に良い影響を与えてくれました。
今からでも遅くないので、ぜひ多くの方に読んで欲しいです。
ご冥福をお祈りします。
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